ブロック塀診断士
ブロック塀は、狭い国土で生活する私たちにとって重要な外構構造物として建設され、プライバシーの確保、防犯や防火などに役立っています。
しかし、地震などによる倒壊の事例が報告され、通学路、避難路、及び不特定または多数の人々が通行する道路に面するブロック塀の安全確保は、地域社会の共通する願いです。
ブロック塀の構造、耐久性、転倒防止対策を理解して、自己点検してみましょう。ブロック塀のような私的財産は、所有者の責任において管理するのが基本です。
ブロック塀の中には、見た目はしっかりしていても安全性に欠けるものがたくさんあります。
安全基準を満たしていないブロック塀は、地震などの災害時に倒壊するおそれがあり大変危険です。スマイル住建株式会社ではブロック塀診断士による安全点検を実施しております。
国土交通大臣認定「ブロック塀診断士」とは
ブロック塀診断士とは、ブロック塀等の性能評価や、危険箇所の調査や改善のための指導を行い、地震、台風等におけるブロック塀等の災害を防止し、地域の安全と、環境保持を目的として、(社)日本建築ブロック・エクステリア工事業協会が平成10年4月に、ブロック塀診断士制度として制定されました。
ブロック塀診断のポイント
下記チェックリストに一つでも該当していれば、お宅のブロック塀は安全性に欠ける恐れがあります。今すぐブロック塀診断士による点検を受けることをお奨めします。
1.チェックポイント
□傾き、またはグラツキがある。 塀が傾いていたり、手で押すとグラツキがあるものは、少しの揺れで塀が倒れる危険性があります。手で押して調べるときは周囲に注意してください。 |
□ひび割れがある。 ◎ひび割れは、その部分から雨水が入り 中にある鉄筋をさびさせ、長い間には鉄筋がなくなってしまいます。少しの揺れで塀が倒れる危険性があります。 |
□高さが高すぎる。
◎ブロックの厚さが10cmの場合は塀の高さは2.0m以下、15cmの場合で2.2m以下です。高い塀は強い地震の揺れで倒れ易くなります。 |
□控壁の間隔がひろすぎる。 また控壁がない。 ◎高さが1.2mを超える塀では控壁が必要です。その間隔は3.4m以下で、この間隔が広すぎたり、控壁がない場合は、強い地震の揺れで倒れ易くなります。 |
□透かしブロックが連続して使用されている、また多すぎる。 ◎配筋用のエグレのない透かしブロックは必要な鉄筋が入りません。したがって、鉄筋の入っていないこのような塀は強い地震の揺れで倒れ易くなります。 |
□築後30年以上たっている。またブロックがボロボロである。 ◎長い間にブロックが劣化し、雨水が入り鉄筋をさびさせて塀の耐久・耐震性に問題がでます。 |
□石垣などの上に建っている。 ◎石垣の上の塀は、地震などの揺れに抵抗する鉄筋が、塀下の石垣に固定されません。したがって、少しの揺れで 塀が倒れることになります |
□土留めに使っている。 ◎ブロックでの土留めは、後ろの土の重量を支えるだけのブロックの厚さや必要な鉄筋の本数が不足します。したがってこのようなつくりかたは地震で倒れる危険性が大です。 |
◎この他、下記の項目も調査すると、より安全な塀と確認できます。 □ブロック塀の基礎は土の中に35cm以上入っていなければなりません。基礎の部分を掘り起こして調べてください。この部分が浅いと地震の揺れにより倒れる危険性は非常に大きいものです。 □塀の中には直径9mm(D10)の鉄筋が縦横とも最大80cm間隔に入っていなければなりません。必要に応じて、鉄筋探査機などで鉄筋の有無を調べることもよい方法です。 □高さ方向に後から積み増しがされていないか調べてください。 |
□内に一つでもチェックが入れば、そのブロック塀は地震などにより倒壊の危険性があります。各市町村の相談窓口、信頼のおける工事店または建築士などの資格の持った人に相談をして下さい。
2.ブロック塀に関するQ&A
Q1.ブロック塀に使われるブロックはどのようなものですか |
A 一般にブロック塀といわれている塀は、正式には補強コンクリートブロック塀といわれ、コンクリートブロックを積んだ壁(塀)を鉄筋で補強したものをいいます。 これに使われるブロックはJISで決められており、その種類のうち圧縮強さによる区分の記号で12(B)16(C)を、厚さは12cm(塀の高さ2m以下)と15cm(塀の高さ2.0~2.2m)を使います。また、ブロック表面に化粧を施したブロックも使われますが、これもJIS品と同等以上の品質を有したものを使います。 |
Q2.一般にブロック塀とよばれているものにはどのようなものがありますか。 |
A 世間一般にブロック塀と呼ばれているのは a.コンクリートブッロクを使ってつくる塀で、このホームページで解説しているブロック塀です。この塀には日本建築学会が設計規準や施工マニュアルで設計および施工規則を決めています。 b.通常のコンクリートブロックの空洞を大きくして、この大きな空洞部に鉄筋を入れコンクリートを全充填する型枠コンクリートブロック(メーソンリー)造といわれる塀があり、補強コンクリートブロック塀の一種として日本建築学会が設計基準や施工マニュアルで設計および施工の規則を決めています。 c.天然石を積んでつくる塀で、日本建築学会で組積造として設計規準があります。この塀は地震で倒れないように補強する鉄筋が入らず、ダボといわれる短い鉄筋で上下の石をつなぐ工法を採用しています。このダボが規定どおりに施工されていない塀が地震時に倒壊し、これをブロック塀の倒壊とニュース報道され、通常のブロック塀とよく混同されています。 d.ブリックと呼んでいるレンガ状のもの、石塀に似せた大き目のブロックをつかったもの、高さが低く長さが短いブロックなどのコンクリートブロックの範囲に入らないもので、各ブロックメーカーが工夫した塀があり、この設計規準や施工方法などはメーカー仕様でつくられます。 |
Q3.最近、ブロック塀をつくりました。このブロック塀は何年くらいもつのでしょうか。また、長く持たす方法はあるのでしょうか。 |
A 法規を守って、良い施工された厚さの厚い(15cm)ブロック塀の耐用年数(寿命)は30年程度といわれています。一般にはこれより薄いブロックを使うことが多いので、当然短くなります。 ブロック塀は、ブロックの中に横からの力に抵抗する鉄筋が入っています。この鉄筋は、塀のメンテナンスをしていないと15年程度で錆び始め、鉄筋が細くなり、ブロック塀は自重でのみで自立している状態に近くなります。また、時間がたてばブロック塀の寿命と関係なく風雨に曝され汚れてきます。かび、水垢などは長い年月が経過すると付着します。 これらはメンテナンスを行なうことによってブロック塀の寿命が延びます。このメンテナンスは一般に薬品などの塗布などに行なわれています。施工した業者の方かブロックメーカーにご相談してください。 ブロック塀は、地上の塀の部分以上に地中に隠れている基礎が大切です。鉄筋コンクリートでつくられる基礎は、その厚みや地中に入る深さが規定どおりであれば、地震に対して安全です。 |
Q4.道路と敷地の高さの差が1.0mほどあります。この土留めに厚さ15cmの空洞ブロックを積む設計になっています。これで大丈夫ですか? |
A 高さが1mもある土留めは、空洞ブロックでは後ろの土の重量などを支えるだけの必要な強さ(必要な鉄筋の配筋など)が発揮できません。鉄筋コンクリート造など、他の構工法を考えてください。 |
Q5.隣でブロック塀を造っています。地面を30cmほど掘り砂利を敷いて、1mほどの鉄筋をたてモルタルを5cm厚さほど打込み、数日後ブロックを積みはじめました。これでいいのでしょうか? |
A ブロック塀の高さが判りませんが、鉄筋が1mほどたっているので、ブロック塀の高さは5段(1m)以上となると思います。ブロック塀の法規では塀の高さに応じた基礎の大きさなどが決められています。基礎は鉄筋コンクリート造として、塀の中に入れられる鉄筋をこの基礎内にしっかりと固定しなければなりません。 したがって、鉄筋をモルタルに差し込んだままということは、鉄筋コンクリート造の基礎を省略するつもりと思われます。また、中程度の地震でもこの鉄筋が抜け出し倒れる恐れがあります。非常に危険です。お隣とご相談するか、役所の担当窓口で相談して下さい。 |
Q6.私の敷地は道路より80cmほど高く、コンクリートで土留めをしています。この土留めの上に高さ1.8m程度のブロック塀をつくる予定をしていますが、ブロック塀の高さに制限があるのでしょうか。 |
A ブロック塀の高さは、道路面から(蓋のない側溝がある場合は側溝の底から)土留めを含めたブロック塀の頂部までが2.2mと規定されています。したがって、土留めの高さが80cmとすれば2.2m-0.8m=1.4mでブロック塀の高さは1.4m以下としなければなりません。 また、土留めの高さが1m以上の場合は、ブロック塀の高さは1.2m以下にしなければなりません。鉄筋はブロック塀に合った太さと間隔をあらかじめ配筋して下さい。 どうしても、1.8m高さブロック塀を造る場合は、土留めから敷地内に1.0m程度後退してつくってください。なお、土留めは、塀を直接のせるにしても、後退してつくるにしても、ブロック塀の影響を考えた構造の土留めとすることが大切です。 |